医師という職業は、どの国でも高…
日本人医師が海外求人を見つける方法を紹介
日本人医師は特定の条件を満たすことで、海外で働くことが可能です。
働くためには、新しい勤務先にに応募しなければいけません。この時、コネクションがあるような人を除いては自分でポジションを見つける必要があります。
実はこの就職活動が多くの医師にとって高いハードルになります。なぜなら、就職活動には「運」「タイミング」「相性」といった要素が、実力と同じぐらい重要だからです。
これらはコントロールができない、不確定要素の大きな活動です。思った以上に時間がかかったり、ストレスがかかり、長期化するにつれてモチベーションも低下していく恐れがあります。
この記事では、海外求人の見つけ方を詳しく紹介したいと思います。
目次
海外求人を始める前に
具体的な仕事の見つけ方の前に、まずは事前の準備について。
- 英語力の証明
- 日本の専門医 or 現地の医師国家試験
- 英文履歴書
日本人医師が海外求人に申し込むためには、英語力の証明が必要です。英語試験は、主に「OET」と「IELTS」の2つの英語試験が基準になっていることが多いです。
スコアは、OET 350(500点満点)、 IELTS 7.0(9点満点)が一つの目安になります。かなり英語力がないと、一発でクリアをするのは難しい試験です。
まだ専門医を取得していない場合や、長期雇用を前提とした求人は、渡航予定先の医師免許を取得する必要もあります。アメリカの「USMLE」、イギリスの「PLAB」や「MRCP」、オーストラリアの「AMC」などがそれにあたります。
加えて、実際に求人に申し込む際には、英文履歴書の準備も必要です。
日本の履歴書とは書き方が異なり、もし履歴書に違和感があるとインタビューまでたどり着くのは困難です。プロの添削を受けることをオススメします。
海外求人の見つけ方
ここからは、実際に求人の見つけ方をみて行きましょう。一般的に以下の3つの方法が求人活動において利用されています:
- 各国のフェローシッププログラム
- 病院のウェブサイト
- 医師向けの求人サイト
基本的には、うまくいかないことを前提に活動をすることが重要です。期待をすると裏切られます。求人活動は10回アプローチして1回でもインタビューにたどり着ければ十分な成果といえます。
とはいえ、悲観的にはならないでください。諦めずに活動を続ければ、必ずどこかのタイミングでマッチします。本当です。
方法1:各国のフェローシッププログラム
まずは、専門医を取得している人です。即戦力として見てもらえるため、IMGのフェローシッププログラムも充実しています。
フェローシッププログラムは、国によって掲載されてる場所が異なります。オーストラリアやカナダなどは、ご自身の専門医機構のウェブサイトに掲載されています。整形外科を例にあげます。
サイト内を見ていただくと、以下のような求人情報を紹介している欄があります。
専門機構によっては、国が別でも同じ組織で運営されているものがあります。オーストラリアとニュージーランドがその一つ。なので、両国で同時に就職活動をしている方も珍しくありません。
カナダに関しては、大学がフェロープログラムを提供していたりもします。最も有名なのはトロント大学です。「uni toronto, 自分の科、fellowship」と検索すると情報を得られます。
アメリカの場合は、「SF Match」のウェブサイトで、全ての科のプログラムが統一して紹介されています。
イギリスでは、MTIとよばれる比較的新しいプログラムなどもあります。MTIプログラムとは「英国で臨床を受ける機会を提供するトレーニングプログラム」で、外国人医師向けの短期プログラムです。
MTIに関しては以前記事にまとめたので、こちらを参照してください。
フェロープログラムは、IMGを対象にしていることも多いです。一般的な求人と比べ、条件を満たすことができれば採用の確率が高いです。まず最初に検討すべきアプローチと言えるでしょう。
方法2:病院のウェブサイトから
2つ目の方法は、直接病院にアプローチをかけるというものです。
こちらの方法は、現地の医師免許を保持している方が有利です。専門医を活用して、短期臨床留学から入る場合などは、科によっては難しいです。そもそも、IMGの短期臨床留学は各国の専門医機構と医師会が管理をしていることが多いためです。
病院へのアプローチとしては、大規模病院に絞ると良いでしょう。すでに多くのIMG採用に実績があることが多く、外国人からの応募に対してポジティブな印象を持っている可能性が高いです。
まずは、住みたい地域の大規模病院をまずはリスト化します。「Chat GPT」や「Claude3」などのAIツールを活用すると情報収集の効率が高まります。
電話でのアプローチがオススメです。メールでアプローチをするよりも、採用インタビューにこぎつけられる確率が高いためです。自分の科の採用担当につないでもらうことが重要です。
うまくいくと、電話は3~5件に1つほどはインタビューにたどり着けるようです。メールになると、返信自体が10病院に1つ程度まで落ちるようです。
方法3:医療求人サイトを活用する
イギリスとオーストラリアでは、医療従事者の求人を集めたウェブサイトがあります。
イギリスでは、NHS(英国の国民保健サービス)が医師の仕事を一元管理しています。オーストラリアでは以下のように、州ごとに医療従事者向けの求人サイトがあります。
- 参照1: eRecruit(NSW州)
- 参照2: Queensland Health job(QLD州)
- 参照3: Monash Health (VIC州)
- 参照4: MedJobsWA(WA州)
医療従事者向けの求人がまとまっているという観点では非常に便利です。一方、これらの仕事は、基本的に現地の医師を対象にしています。
IMGとして勝負する場合は、「実力」「人柄」「英語力」の3点で競争力を保つ必要があります。
一般向けの求人サイトにも、医療従事者向けの仕事が紹介されています。求人数が最も多いのが、リクルートでおなじみの「Indeed」。また、「SEEK」といったニュージーランドやオーストラリアに強いサイトもあります。
とはいえ、一般向けの求人サイトでは、自分の専門にあった仕事を探すのは難しく、こちらも現地の医師との競争力を担保する必要があります。
最後に
海外で働きたいかまでは分からない場合は、病院見学等から入るのも一つの手です。実際の現場をみると、準備のモチベーションも上がります。
まずは、短期間働いてみたい場合は、日本で専門医を取得し、フェローシッププログラムで参加をするのが良いでしょう。現地の医師免許を取得するには、通常3~5年程度かかるためです。
短期のフェローから入り、そのまま長期滞在したくなった場合は、現地で専門試験を受ける、ないしは、現地の医師免許を取得することを考えると良いでしょう。
初めから永住ありきで、海外に行きたい医師の方は、日本にいる間に現地医師免許取得のための学習を開始するのも一つの手です。専門医の書き換えという手段ももちろんありますが、現地医師免許取得の方が、より確実に永住権にはつなげやすいです。
以上、医師の海外での就職活動についてのヒントでした。
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