日本人医師がニュージーランドで医師登録するステップ
ニュージーランドは海外で臨床を目指す日本人医師に人気のある国の一つです。自然環境や教育制度の魅力から、将来の子どもの教育も視野に入れた移住先として選ばれることが多い国です。
ニュージーランドで医師として働くには、Medical Council of New Zealand(MCNZ) による登録と practising certificate(診療証明書) の取得が必須です。この記事では、現行の公式情報に基づき、日本人医師がニュージーランドで臨床を行うための主なステップを紹介します。
ニュージーランドで医師になる3つの方法
日本人医師がニュージーランドで医師登録するためには、一般的に以下の3つのパターンがあります:
- NZREX Clinical に合格し、PGY1 ポストを得るルート
- 専門医資格を活かして Vocational Registration を目指すルート
- オーストラリア(AHPRA)経由の Competent Authority Pathway
それぞれを解説していきます。
1. NZREX Clinical
NZREX Clinical は、ニュージーランドで医師として登録するために必要な 臨床試験(Objective Structured Clinical Examination) です。国際医師(International Medical Graduates; IMGs)が一般的に用いる主要な試験となっています。
主なポイント
- 合格者は 12 の評価ステーション 形式の臨床試験を受けます。
- 受験には 英語能力要件(IELTS か OET 等)および 国際試験の合格実績(例:USMLE、PLAB、AMC、MCCQE 等)が必要です。これらは過去数年以内の合格証明が求められます。
- 資格の Primary Source Verification(ECFMG/EPIC など) を済ませてから申請する必要があり、書類の認証には時間がかかることがあります。
合格後の流れ
- NZREX Clinical に合格する
- MCNZ が認定する病院で PGY1(前職業研修 1 年目) の臨床ポストを確保
- provisional general registration の申請・取得
- PGY1 完了後に general registration の申請へ進む(PGY2 を含むこともあり得ます)
※試験日程は公式サイトで随時公表され、年ごとに異なります。
2. Vocational Registration(専門医資格を活かすルート)
専門医資格をすでに持っている医師は、Vocational Registration(専門医としての登録) を目指すことができます。
ポイント
- MCNZ は複数の登録スコープを設けており、専門医レベルの登録は一般的な登録とは別に審査されます。
- 専門医資格だけで自動的に登録できるわけではなく、資格の評価や臨床経験などを総合的に審査されます。
- 一時的なトレーニング(例:Postgraduate Training)で経験を積み、次の長期登録に繋げる戦略も考えられます。
3. オーストラリア経由(Competent Authority Pathway)
オーストラリアの AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency) で医師登録を取得し、その後ニュージーランドでの登録を申請するルートもあります。
ポイント
- オーストラリア一般登録(AMC 試験合格+1年研修など)者は、Comparable Health System または Competent Authority Pathway を通じて NZ 登録が可能です。
- このルートは NZREX を避けられる場合がある ため、オーストラリアでの臨床経験を積みながら将来の NZ 移住を考える選択肢として有力です。
必要な英語資格
必要な英語資格は以下のいずれか1つです:
- IELTS 各スキル7.0以上
- OET 各スキル350点
IELTSはすべてのセクションで7.0以上のスコアを取得。OETはすべてのセクションで350点以上を取得する必要があります。
IELTSはライティングとスピーキングで7.0以上を取得する事が難しく、OETはリスニングで350点以上を取得する事が難しいという傾向があります。
どちらの試験が適しているかは個人の適性や現場の英語力に応じて異なるので、気になる場合は専門の方に相談してみると良いでしょう。
参照:Policy on English language requirements
まとめ
今回紹介したルートは公式情報をベースに整理したものです。ニュージーランドで医師として臨床したい場合、どのルートで進むにも英語力の証明が必要となります。そのため、可能な限り早い段階から 英語資格対策 を始めることが成功への第一歩になります。

This Post Has 0 Comments