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専門医向け短期臨床プログラムを解説 | オーストラリア

オーストラリアには “short term training in a medical specialty pathway“(以下、短期臨床プログラム) と呼ばれる、外国人専門医向けの短期プログラムがあります。

一般的に、外国人医師がオーストラリアで働くには、AMCのようなIMG向けの医師国家試験を突破して、就職活動を行う必要があります。しかし、すでに日本で専門医を取得している方は、この短期臨床プログラムを活用しオーストラリアで臨床を行うことが可能です。

実は、日本からオーストラリアでの臨床留学を考えた場合に、一番現実的なアプローチは短期臨床プログラムになります。

英語圏での臨床経験がない場合に、就職活動が最大の壁になります。しかし、短期臨床プログラムを活用することによって、比較的容易に働く場所を確保することが可能になるためです。

※本記事の情報は、APHRA(オーストラリアの医療従事者登録機構)の一次情報と、過去の生徒から伺った情報を元に書き出しています。

短期臨床プログラムとは

短期臨床プログラムは世界中のIMG専門医を対象とした「オーストラリアで臨床を受ける機会を提供するトレーニングプログラム(通常は最長24ヶ月」です。

プログラムの目的は、海外で専門医を取得したIMGがオーストラリアで研修を受けられるようにすることですが、実状としては、オーストラリアの医療制度にもメリットがあるようになっています。

IMGは、オーストラリアで働きトレーニングを受けることで、知識と経験を得ることができます。また、短期臨床プログラムからオーストラリアに入ることにより、長期の医師登録につなげやすくもなります。

一方で、APHRAや病院に対してはポジションの空席とローテーションギャップに対する、高品質な代替手段を提供します。実際、需要が高い科はすぐに就職先が見つかりやすいです。

このようにして、IMGと病院の双方にメリットをもたらすようになっているのです。

各研修プログラムの開始時には、医師一人一人に指導医が割り当てられます。この指導医が、研修においての具体的な目標を支援します。

当プログラムで働ける病院は限定的です。通常は各都市の大型病院です。IMGを受け入れる体制が整っているかを、各専門のCollege(専門医機構)が審査し、合格した病院のみで受け入れが可能です。

応募資格について

短期臨床プログラムの応募要件を確認しましょう:

  1. 日本で専門医を取得
  2. 英語力の証明
  3. 就職先の確保

このプログラムは専門医向けのため、母国で専門試験に合格していることを証明する必要があります。

英語に関しては、IELTS7.0(各セクション7.0以上)またはOET各セクション350以上のいずれかが必要です。ほとんどの医師にとっては、背景知識でカバーできるOETの方が対策しやすいと思います。

IELTSとOETの詳しい比較については、こちらの記事を参照にしてください。

ほとんどの方は、英語対策に数年を要します。その他の主要英語圏も、必要なスコアはおおよそ同じです。オーストラリアのみならず、海外臨床留学を考えている人は、なるべく早く英語学習を開始しましょう。

最後に就職先の確保です。就職先は自分で目処をつける必要があります。自分の科の専門員医機構に募集プログラムの有無を確認するのが最初のステップです。

メリットとデメリット

短期臨床プログラムのメリットとデメリットについて確認しましょう。まずは、メリットからです:

  • トレーニング機会:英語圏での就労体験ができることで、その後の海外就職が飛躍的に楽になります
  • 費用軽減:専門資格が認められるため、英語資格以外の要件がなく、渡航前の費用が抑えられます
  • AMC免除:出身国の専門資格が認められる場合は、AMCを省略できます
  • 給与がでる:仕事内容にもよりますが、外科系は手取りで税引後8,000AUD/月程度をもらうことが可能です

一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 勤務地の制限:一部の、特にマイナー科では、働ける場所が限られてきます
  • 永住権に繋がらない:短期臨床プログラムは、永住権に必要な医師登録には繋がりません
  • 出国義務:プログラム後は、出身国への帰国または別ルートへの切り替えが必要です

このプログラムの最大のメリットは、オーストラリアの医療システムに熟知できること、そして現地でのコネクションが多くできることです。

短期臨床プログラムでは、直接的に長期の医師登録につなげることができないため、長期滞在を考えている方などには遠回りに感じるかもしれません。

しかし、仮にAMCに合格ができても、コネクションがない限り就職は簡単ではありませんし、専門医を活用した医師登録にあたる、Specialist Registrationには確固たるルートが示されていません。

そんな中、短期臨床プログラムを活用しながらAMC対策をしたり、Specialist Registrationへ繋げるための情報収集や人とのつながりを作ることは現実的な手段といえます。

応募方法

短期臨床プログラムの応募方法としては、自分の専門医機構に連絡をすることです。ウェブサイト上の「Contact」からプログラムへの参加趣旨を送ります。

勤務先の探し方は主に2通りあります:

  1. 専門医機構から応募: 専門医機構内のウェブサイト上に求人情報があることがあります。そこから自分に応募するプログラムに応募します。
  2. 外部サイトを活用する:各州医療従事者向けの求人サイトが存在します。こちらから応募します。

最も一般的な方法は、自分の専門医機構のウェブサイト上のプログラムに申し込むことです。

「専門名、fellowship、inventory、australia」と検索をすることで、募集への該当ページが表示されます。例えば、整形外科ですと以下の情報へアクセスが可能です。

この中から自分にマッチまたは興味がありそうなプログラムに応募していきます。

科によっては、専門医機構のサイトにプログラムが掲載されていないことがあります。そういった場合は、専門員機構に連絡をすることで、受け入れ可能な病院のリストを送ってもらえることもあります。

外部サイトを使う前に、まずは専門医機構に連絡をし、就職可能先を教えてもらえるか交渉していくことがポイントです。

外部サイトとしては、IndeedやSeekが一般的ですが、オーストラリアには医療従事者向けの求人サイトもあります。

州ごとによって異なりますので、主な州のを紹介しておきます。

まとめ

今回記事で書いた内容をまとめます。

専門医向け短期臨床プログラムとは、

  1. 最大24ヶ月の短期プログラム
  2. 専門医 + 英語資格が出願資格
  3. 各専門医機構からアプライが可能

海外で臨床を試みる際に、最も大きなハードルになるのが就職先の確保です。

就職先を探さないといけないという点においては、この記事で紹介をした短期プログラムも同様です。しかし、その他の国と比べて、レールが明確であるため比較的探しやすいのが特徴です。

そういった意味では、海外臨床留学のとっかかりとして、豪州での短期臨床プログラムを利用するのは一つの手だと思います。

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