AMC MCQの概要と対策方法 – オーストラリアで医師登録を目指す

専門医資格がない日本人医師がオーストラリアで臨床を目指す場合、避けては通れないのがスタンダード・パスウェイです。

「パスウェイ」とはAHPRA（オーストラリアの医師登録機関）に医師登録するためのステップです。大きく分けて「専門医資格を持っている場合」と、「そうでない場合」の2パターンにステップが分かれ、今回はその後者の説明です。

スタンダード・パスウェイは以下の資格を取得する必要があります：

English language skills registration standard（英語資格）
AMC MCQ（筆記試験）
AMC Clinical Examinatio（実技試験）

まず前提として、海外で臨床するための最低限の英語力を証明する必要があります。これは「OET」や「IELTS」、「TOEFL」「PTE」のいずれかで基準点以上を取得することが求められます。

英語試験を無事パスしたら、AMC（オーストラリア医師協会）の筆記試験と実技試験で合格する必要があります。これはオーストラリアの国家試験で、実技試験は現地で受験する必要があります。

今回はそんなAMC MCQ（筆記試験）の対策方法についてまとめていきます。

AMC MCQの概要

AMC MCQは、オーストラリアにおける医学知識を問うコンピューターベースの試験です。150問の症例問題を5択で選んでいきます。試験時間は約3時間30分。

試験問題は独自のアルゴリズムで構築されており、正解の選択肢を選ぶと難易度が上がり、逆に間違えの選択肢を選ぶと難易度が下がるように設計されています。

以下にザッと概要をまとめておきます：

名称：	AMC MCQ（Multiple Choices Questions）
試験形式：	選択問題（5択）
問題数：	150問
試験時間：	210分
出題範囲：	内科 30%・外科 20%・産婦人科12.5%・小児科 12.5%・精神科 12.5%・Population Health 12.5%
試験申し込み：	^*1 AMC Accountの作成（要600AUD）
参照元：	AMC Australia

^{*1 AMC Accountに登録する前に}^{ECFMGのEPIC アカウント}^{に登録し医療資格の承認手続きが必要になります。}

AMC MCQの主な対策方法

AMC MCQの主な対策方法は大きく分けて以下の4つです：

公式問題集
オンライン対策
スクール
その他：

それぞれの対策方法の特徴を説明します。

1. 公式問題集

AMCがオススメしている学習教材で、AMC MCQに出題される範囲が網羅的にまとめられています。

主要なものは以下の2つです：

MCQは医学知識だけではなく読解力を問うテストでもあるので、公式問題集で語彙力とリーディング力を身につけておくと基礎スキルの構築として効果的です。

デメリットは “情報が古い” ということ。

基礎スキルを身につけるという観点では効果的ですが、実際の模擬として活用するには心許ないかもしれません。

参考までに以下にPDFのサンプルを共有するので、興味がある方はご確認ください：

AMC Handbook of Multiple Choice Questions.pdf

2. オンライン対策

Question Bankは、試験問題を大量に解く事ができるオンラインリソースです。プランを購入すると、指定された期間内だけコンテンツを利用する事ができます。

以下が主要なQBです：

問題が大量にあるので、「読む」だけの受身的な学習に比べて “勉強している感” を実感できます。コンテンツも古いものから新しいものまで揃えられているので、一通り作業として取り組むと効果的だと思います。

デメリットは問題の出典が曖昧な点。Question Bankによっては独自で問題を作成していることもあり、本番の形式とは若干異なる問題も含まれます。

3. スクール

海外の医学部生のための予備校が開催しているAMCの対策コースです。日本人以外の外国の医師たちと一緒に集団で授業を受けます。

以下が一般的な予備校です：

現地の英語に触れるという観点、学習に強制力を持たせる事ができる観点から特に効果的だと考えられます。

しかし、MCQの対策は結局のところ暗記が中心となるため、進度が遅かったり、対策して欲しい範囲を取り扱ってくれないというデメリットがあります。

無料のウェビナーを定期的に開催しているようなので、試しに受講してみて様子をみてみるのも良いと思います：

Free Exam Preparation Resources

4. その他

MCQで出題される内容は、一般的な医療知識に関する内容が中心なので、AMCがオススメしている教材以外でも “知識を身につける” という観点においては効果的です。

例えば以下のような教材があります：

“The AMC Handbook of Multiple Choice Questions” では広く扱っていないトピックや苦手な内容に関する補強教材として活用すると効果的です。

しかし、実際のAMC MCQとは関連していないので、あくまで知識のベースをつけるという観点でしか活用することは難しいかもしれません。

いずれの学習方法も、現状の英語力と専門知識に応じて対策にかかる時間が異なります。英語試験にOETを活用した人は重複する部分がいくつかあるので、若干対策がしやすい傾向があるようです。

まとめ

AMC MCQは、医学知識を問う選択問題（5択）です。選択問題を解くためには、基本的に以下のスキルが求められます：

語彙力
背景知識

結局は語彙を正しく理解できるかリーディングが正確にできるか、が一番のキーファクターです。インプットは一朝一夕で身に付くスキルではなく、特に専門外の知識に関しては長期的に情報に触れている事が重要になるので、対策をする際は焦らず長期的に学習に取り組めるプランを作りましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。何かご質問などあればお気軽にご連絡ください。

参考ウェブサイト：

AMC MCQ

AMC MCQの概要と対策方法 – オーストラリアで医師登録を目指す

AMC MCQの概要