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オーストラリアでGP(家庭医)として働く方法を紹介

日本人医師がオーストラリアでGP(家庭医)として働くには、大きく2つの方法があります。

一つは、日本で取得した家庭医療専門医の資格を活用するルート。もう一つは、オーストラリアで一からGPになるルートです。

この記事では、それぞれの方法についてわかりやすく解説します。

日本の専門医を活用する方法

まずは、すでに日本で家庭医療専門医を取得している場合のステップです。

  1. 英語資格(IELTS/OET)を提出
  2. 職場(スーパービジョン付きGPポジション)を見つける
  3. PEPに申請と参加(研修・試験・監督の下で臨床経験)
  4. FRACGP試験合格でGPとして認定される

まず必要なのは、英語力の証明です。最も一般的な試験は、OETとIELTSの2つです。両者の違いについては、こちらの記事で比較しています。

次に、勤務先となるGPクリニックを確保する必要があります。対象は病院ではなく、GPクリニックです。特に、地方(DPA地域)は求人が豊富です。採用された場合、雇用主がスーパーバイザーとしての登録申請をオーストラリア王立全科医RACGPや医師免許登録を管理するAHPRAに提出します。

次に、Practice Experience Program(PEP)に申請します。日本人医師は多くの場合、「Partially Comparable(一部同等)」と判断されます。これは、RACGPの研修制度や評価方法が、日本の専門医制度と完全には一致しないためです。

「Partially Comparable」と判定された場合、実地診療と教育的評価の両方を含む6か月間の研修を受けます。すべてのプログラムを修了し、必要な評価に合格することが求められます。

その後、RACGPのFellowship試験(FRACGP)に合格すれば、正式にGPとして認定されます。試験は3つのパートに分かれており、合格率は8〜9割と比較的高めです。AMC試験と比べると、内容はより実践的かつ基礎的な項目が中心です。

豪州でGPの専門医を一から取得

次に、豪州でGPの専門医を一から取得する場合のステップです。

  1. 英語資格(IELTS/OET)を提出
  2. AMCに合格する
  3. PESCI(臨床面接)を受けAPHRAに医師登録
  4. 職場(スーパービジョン付きGPポジション)を見つける
  5. GP専門研修(AGPTまたはFSP)に参加
  6. FRACGP試験に合格 → 専門医として認定

このルートでも、まずは英語試験に合格することが必要です。続いて受けるAMC試験は難関で、Part 1は合格率約60%、Part 2は20〜30%と低くなっています。

AMCに合格したら、次にPESCI(Pre-Employment Structured Clinical Interview)と呼ばれる臨床面接を受ける必要があります。これは、応募先のポジションに就く臨床能力や適性を評価する試験です。合格率は約50%とされており、十分な準備が求められます。

PESCIに合格したら、AHPRAに医師登録を申請します。登録が完了すれば、GPとして働けるポジションに就くことが可能になります。その勤務先で、GP専門研修プログラムに参加します。進むルートは、以下の2つのいずれかです。

ひとつは、AGPT(Australian General Practice Training)。35歳以下など比較的若い医師が対象で、選抜制・高倍率のプログラムです。研修期間は3〜4年。

もうひとつは、FSP(Fellowship Support Program)。こちらは年齢制限が緩く、より柔軟な仕組みで、先述のPEPの後継制度にあたります。

そして、最終的にFRACGP試験に合格すれば、正式にGPとして働くことが可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事は、RACGPの公式情報をもとに構成しています。詳細が気になる方は、ぜひ以下の一次情報もご確認ください。

https://www.racgp.org.au/education/imgs/live-and-practice-medicine-in-australia/roadmap-to-fellowship

単純化すると、日本の専門医を活用する場合は、「英語試験 → 就職 → 研修 → FRACGP試験合格」という流れです。比較的シンプルで、臨床経験が評価されやすいのが特徴です。

一方、オーストラリアで一からGPを目指す場合は、英語、AMC、PESCI、専門研修、FRACGP…と試験づくし。まさに“試験まみれ”の道のりになります。

個人的には、一からGPを目指すルートはかなり厳しい道のりだと感じます。そのため、まずは日本で専門医資格を取得しておくか、AMCを経由せずに医師登録を目指せる「Competent Authority Pathway」の活用など、より現実的なルートを検討することをおすすめします。

なお、Competent Authority Pathwayについては、別の記事で詳しくご紹介する予定です。興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。何かご質問などあればお気軽にご連絡ください。

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