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OETの概要と特徴について

海外で医師登録をするためには英語力を証明する資格が必要になります。その中で最も一般的とされているのがOET(Occupational English Test)と言われる英語試験です。

IELTSと比べると医療分野に特化していることから医師にとっては対策しやすく、近年USMLE Step 2 CSの代替テストとして採用されたことから徐々に認知が高まっています。

今回はそんなOETに関して情報をまとめていきます。

OETとは?

OETはオーストラリア発祥の医療分野に特化した英語試験です。海外で医師登録をする際の英語力証明として広く取り入れられています。

現状アメリカやカナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど主要国では、共通してOETを英語力の証明として採用しています。

以下に概要をまとめておきます:

名称OET(Occupational English Test)
受験形態① ペーパー試験(大阪会場のみ)
② コンピュータ試験
リスニング試験時間:約40分
1. ディクテーション
2. 多肢選択問題(3択)
リーディング試験時間:約60分
1. 速読問題
2. 多肢選択問題(3択・4択)
ライティング試験時間:約60分
カルテの情報を元に紹介状の作成(約200字)
スピーキング試験時間:約20分
ロールプレイ(5分 x 2回)
会場東京 – 御茶ノ水ソラシティ
大阪 – UK Plus OSAKA
試験日2回/月
受験費用587AUD (約6万円)
受験方法– ペーパー試験:https://registration.myoet.com/
– コンピュータ試験:https://booking.oet-global.com/

受験日はコチラで確認することができます。基本的には第1・第3土曜日が受験日になる傾向があります。

試験会場は東京と大阪の2都市のみ。東京はコンピュータ試験のみ受験可能で、大阪はコンピュータ試験とペーパー試験が受験可能です。

一点、受験申し込みをする場合、コンピュータ試験とペーパー試験では申し込み時のウェブサイトが異なる点に注意してください。

受験結果は、受験してから約15営業日後にポータルで共有されます。

OETの特徴

受験生の方たちの声を参考に、OETの傾向をまとめてみました:

  1. リスニングが難しい
  2. リーディングとリスニングの問題が独特
  3. ライティングとスピーキングは対策しやすい

以下に詳しく解説していきます。

特徴 ① リスニングが難しい

まずみなさん口を揃えて言うのがリスニングの難しさです。

普段から聞いているアメリカ・イギリス英語と異なりオーストラリアのアクセントでの対話が含まれるので、聞き取りが困難に感じるようです。

また、ディクテーション問題が全体の半分以上を占めるため、細かい音を正しく聞き取る力が求められます。受験などで学習経験がない領域が出題される点も、難しいと感じる要因だと考えられます。

さまざまな発音に対応するリスニング力。細かい音を聞き取る音声知覚。前後の文脈から内容を推測する力が求められます。

特徴 ② 独特な問題

リスニングとリーディングは多肢選択問題(Multiple Questions)が中心ですが、この選択肢の構成が他の試験と比べると独特です。

受験や英検、TOEICなどでは選択肢に含まれる情報を本文から抜き出す、という方法で正解を導くことが一般的です。

しかし、OETでは複数の選択肢に本文と同じ情報が含まれているので、今までの感覚で問題を解くと何故か正解しない、という状態になることがあります。

情報を探すというよりは段落の要点や構造を理解する、といったスキルが求められる傾向があります。

特徴 ③ ライティングとスピーキングは比較的対策しやすい

OETのライティングは、患者のカルテを元に紹介文(Referal Letter)を作成します。

問題形式自体が大きく変わることがほとんどないので、紹介文を書くために必要な表現や文章構成などを覚えれば比較的対策がしやすい領域です。

スピーキングは、受験生が医師役になり患者役のネイティブとロールプレイを行います。

ロールプレイは基本的に症状の説明や治療方法の説明などが中心となり、こちらも必要な表現や症状に関する背景知識をインプットすることで再現性が高くなります。

一点、気をつけなくてはならないのがスピーキングでは「発音の流暢さ」が大きく評価されるということです。

2つある評価軸のうち、1つは発音にのみ関連する評価なので、聞き取りやすい英語を再現できるような対策が必要になります。

ペーパー試験とコンピュータ試験の違い

現在ペーパー試験とコンピュータ試験の2種類のテスト形式を選択することができます。

個人差はあると思いますが、受験生の方からのフィードバックを参考にするとコンピュータ試験の方がオススメです

以下にメリット・デメリットをまとめてみました:

コンピュータ試験ペーパー試験
メリット– スピーキング試験の日時指定が可能
– ライティングの文字カウントが使用できる
– コピー&ペーストができる
– リスニングでヘッドフォンを使用できる
– スピーキングが対面形式
– リーディングでスクロールする必要がない
デメリット– 受験予約が取りにくい
– 通信環境によってはスピーキングがやりにくい
– ライティングが手書きになる
– 拘束時間が長い

受験生の体験談によると、ペーパー試験のリスニングは座る席によって音声が聞き取りにくいというデメリットも起こり得るようです。

また、ある受験生からは、(恐らく)ハンドライティングが読めないという理由でライティングのスコアが急激に下がったという報告もあります。

一方、コンピュータは関東圏の医師が受験するため、繁忙期には予約がすぐに埋まってしまうというデメリットがあります。

特に年末年始あたりや、3月4月あたりは予約が取りにくくなるので2ヶ月前には受験予約をしておくと良いでしょう。

OETとIELTSの違い

OETと同じように認可されているテストに「IELTS」というものがあります。IELTSと比較しながら、OETの特徴を洗い出していきます:

OETIELTS
受験日2回/月毎日*
受験費用587AUD (約6万円)25,380円
受験会場東京・大阪全国
出題分野医療分野多岐にわたる学術分野

*IELTSは複数の試験実施団体がありIDPという団体で東京会場(新宿)の場合、毎日受験可能です

受験のしやすさという観点において、受験会場が複数あり試験日が多いIELTSにメリットがあります。受験費用もおよそ半額なので、複数回の受験を予定している場合はその点も優位性があると言えます。

一方、出題される試験内容に関して、OETは日常的にインプットしている医療分野のトピックが中心になりますが、IELTSは芸術から科学まで幅広い学術領域のトピックが出題されます。

背景知識の有無が問題の解きやすさに影響を与えることを考えると、対策のしやすさはOETに武があると言える分があると言えるでしょう。

加えて、OETのライティングとスピーキングは、毎回のテストで同じフォーマットが採用されています。出題内容が大きく変わるIELTSと比べて、OETは定型文のインプットでかなり対策がしやすくなります。

ただ、受験生が口を揃えていうのがリスニングがIELTSよりも難しいということです。音声がオーストラリア寄りなので、アメリカ・イギリス英語を聞き慣れている人からすると少し聞きにくいと感じるようです。

リスニングが得意かどうか。スピーキングとライティングが得意かどうか。

受験生の特性によって対策のしやすさは変わってくるので、受験を予定している場合は一度専門の指導者に相談してみると良いと思います。

OETに関する質問

よく受験生の方からいただく質問と回答を以下にまとめていきます:

Q. OETの試験結果は、自動的にECFMGへ送信されるのか?

送信されません。

ECFMGの公式ウェブサイトで以下のような情報を確認できます:

There is no limit on the number of times you can retake OET Medicine, subject to scheduling availability.
(OETの再受験回数に制限はない)

参照:Assessment of Communication Skills, Including English Language Proficiency

ECFMGへのスコアはOETのマイポータルを操作することで共有できます。

受験のたびにアカウントを変更されている受験生もいるようですが、その必要はないでしょう。実際、過去に1年ほど試験を繰り返した受験生も無事にパスすることができています。

Q. コンピュータ試験のリーディングはスクロールする必要があるのか?

ありません。

OETコンピュータは、TOEFLなどを運営するプロメトリックという企業のシステムを採用しています。

プロメトリックのリーディングは、方画面にPDFビューワーがあり、もう片方には回答画面があるので2画面で文章をみながら問題を解くことが可能です。

Q. リマークでスコアが上がる可能性はあるのか?

リマーク(Remark)とは、スコアをもう一度評価し直してもらう制度です。試験結果が共有されて1週間以内であれば、約120AUDで申請可能です。

リマークに関して、ライティングとスピーキングの2科目はスコアが変動する可能性が高いです。

リスニングノリマークに関しては、これまで20名以上の受験生をみてきてスコアが変動した事例は一つもありませんでした。

Q. どれくらいの対策期間で合格できるか?

テストへの適正と元々の英語力に応じて、対策期間は大きく異なります。1ヶ月程度で合格できる人もいれば、1年以上対策に時間がかかるケースもあります。

音に関して苦手な傾向が強い人は対策期間が長くなる傾向があり、リスニング・スピーキングのいずれかのスコアで伸び悩むことが多いです。

まとめ

日本におけるOETの認知度は年々高まっており、出題分野との相関性の高さから多くの日本人医師が英語力の資格として活用しています。

背景知識でカバーできる領域が広い反面、リスニングやスピーキングなど音声に関する再現性を伸ばすことが合格率を高めるために必要になります。

受験の必要性がそこまで高くない場合。英語力に不安がある場合は、発音矯正など音に対する感度を高める基礎学習に最初は焦点を当てて学習し始めても良いと思います。

OETに関するご相談はお気軽にご連絡ください

私たちが運営しているSOLO IELTS TOEFLでは、OET対策に特化したサポートを提供しています。受験までの計画や効率的な学習方法など、気になることがあればなんでもご相談ください。

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