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イギリスでコンサルタントとして働く方法を紹介

イギリスでコンサルタントとして働く方法を紹介

イギリスで医師として働きたい方の中には、最終的にコンサルタントを目指されてる人も少なくないと思います。

日本の医学部を卒業した方がイギリスで働こうとする場合、まず最初にGMC登録が必要です。

GMCとは “The General Medical Council” の略で、イギリスにおける医師登録を管理する公営機関を指します。GMCの登録方法には、主に3つのルートがあります。

  1. PLABルート
  2. MRCPルート
  3. ポートフォリオ・パスウェイ

PLABとMRCPは、いずれも臨床能力を問う試験になります。ポートフォリオは、専門医としての経験を証明する書類を提出する方法です。

選択するルートにより、最終的にコンサルタントとして働くまでの年数が「大きく」異なります。

この記事では、イギリスでコンサルタントとして働く方法について解説をします。

英国でコンサルタントになる

コンサルタントとは

まずは、コンサルタントについて、その定義をおさらいしておきます。

コンサルタントは、イギリスの病院医師の中で最も高い役職です。日本で直訳できる対応職位はありませんが、教授、主任医師(診療科の責任者)などに近いイメージです。

高い専門知識を持ち、患者に対して専門的な臨床ケアを提供します。さらに、病院内でチームを率い、協力して最高の患者ケアを提供できるようにする責任を負います。

多職種チームの一員として働き、専門的な臨床ケアを提供すると同時に、必要に応じて患者を他の部門や専門医に紹介します。また、ジュニアドクターの育成やサポートも要求されます。

近年は、ローカムドクターのコンサルタント求人も多くあります。ローカムドクターとは、非常勤医師や代診医師のことを指します。

給与は勤務年数によって差が生じます。基本給は£99,532からスタートし、最終的には£131,964まで上がります。

IMGのコンサルタントは給与水準の最下位からスタートし、経験を積みながら昇進していきます。コンサルタントとして働けば、少なくとも日本円で年収2,500万円程度を得ることが可能です。

英国のキャリアパス

コンサルタントになるには、イギリスの全医療トレーニングを修了する必要があります。

英国の国民保健サービス、NHS(National Health Service)が役職を定義しています。ざっくりと図で理解をしてみましょう。

図中の略語ですが、FYが “Foundation Year”、STは “Special Training”、CTは “Core Training” を指します。それぞれ、日本の対応職種では以下のようになります。

  • FY1: 初期研修1年目
  • FY2: 初期研修2年目
  • ST1+: 専門医研修
  • CT1+: 後期研修に近い

全てをまとめて、「ジュニアドクター」と呼ばれます。ジュニアドクターは専門分野を確立し、病院で医師として経験を積むことが目的です。

FY1およびFY2(初期研修)では、さまざまな病院や部門をロテーションし、NHSの医療環境での経験を積みます。

その後、ST1(専門医研修)または、CT1(コアトレーニング)へ進みます。ST1およびST2は、個々の専門分野に焦点をあてた期間です。CT1およびCT2は、より広範な分野に焦点を当てています。

ST1/2またはCT1/2を修了すると、ST3+の役職でトレーニングを続けます。ST1+2 / CT1+2のいずれかを修了した後は、専門分野でST3+を開始し、CCTの取得を目指します。

CCTは、(Certificate of Completion of Training)の略で、コンサルタントとして認定されるための資格を指します。ST3+からCCTまでは、およそ8年ほどかかります。

つまり、医学部を卒業してからコンサルタントになるまでは、最短でも12年以上かかるということです。

IMGは、選択するルートによりコンサルタントまでの年数が大きく異なります。1つずつ確認をしていきましょう。

PLABルート

まずは、PLABルートからです。イギリスでジュニアポジションから、最終的にコンサルタントを目指すルートです。

IMGにとっては最も一般的なルートです。なぜなら、PLABはIMGのために作られた試験だからです。

PLAB とは “Professional Linguistic and Assessments Board”(専門言語評価委員会)の略です。IMGを対象としているため、対策がしやすいのが特徴です。

できるだけ早く医師としてのキャリアを英国でスタートさせたい人や、専門医をまだ取得していない方にオススメです。

PLABルートでの医師免許登録を選んだ場合、FY2からST/CT2までの職務に応募することができます。つまり、渡英後に、再び研修医からやり直すということです。

日本で既に専門医として働いてる人にとっては、受け入れづらいかもしれません。PLABルートからコンサルタントを目指す場合は、少なくとも10年程度は必要になります。

MRCPルート

次に、MRCPルートについてです。イギリスでシニアポジションから始めて、コンサルタントを目指すルートです。

MRCPとは “Membership of the Royal College of Physicians” の略です。日本で言うところの、内科医専門医試験です。

PLABよりも、多くのスキルやコンピテンシーをアピールできる大学院レベルの資格として認められています。

MRCPは、現地の医師を対象としたテストのため、IMGにとっての難易度は高いです。言語面でのハンデが考慮されないためです。

MRCPの場合、CCTまでの道のりはより短くなります。MRCP合格後は、ST3+からキャリアをスタートできるためです。人によっては、より上位の職位から開始をすることもできます。

つまり、MRCPルートを選択する場合は、数年から最長8年でコンサルタントになることが可能だということです。

少なくとも、研修医からやり直す必要ありません。日本で十分な経験があると認められる場合、すぐに専門医登録ができる医師もいます。

PLABとMRCPの比較については、以下の記事をご参照ください。

ポートフォリオ・パスウェイ

最後に、ポートフォリオ・パスウェイについてです。

このパスウェイでは、イギリス内での正式な研修プログラムを受けなくても、GMCの専門医登録が可能です。実質的に、最初からコンサルタントとして働くことが可能な制度です

専門医としての経験を証明する(膨大な)書類の提出により、審査がなされます。

書類の提出ときくと楽そうですか、そうでもありません。イギリスで訓練を受けたコンサルタントと同等の責任を果たせることを示す必要がありますので、証明には膨大な時間を要します。

この制度は、昨年まではCESRと呼ばれるものでした。特定分野での医師不足を解消するために、CESRのプロセスが簡潔かつ明確化されたものが、ポートフォリオ・パスウェイと呼ばれるようになりました。

まずは、GMCに連絡を取ることから手続きが始まります。自分の今までの専門医としての経歴と、イギリス側のニーズがマッチをしているか、GMCから指南を得ると良いでしょう。

すでに、日本で十分なキャリアを積んでいる専門医の方にとっては、チャレンジをしてみる価値がある新制度かと思います。

ポートフォリオ・パスウェイについて興味がある方は、こちらの記事に詳しくまとめています。

最後に

以上が、イギリスでコンサルタントとして働く方法の紹介でした。

まだ専門医を取得していない方などは、PLABルートが最も現実的です。しかし、日本で専門医として十分な経歴を積んでいるような人は、MRCPまたはポートフォリオ・パスウェイが主な選択肢になるかと思います。

長期でイギリスで働くことを決めかねているような場合は、MTIプログラムなどの制度を活用するのも一つの手かもしれません。

このような制度を活用することで、イギリスの医療制度について理解を深めながら現地でコネクションを作り、イギリスで長期にわたって働きたいかを考えることが可能です。

どのルートも決して簡単ではありませんが、過去の経験と今後のキャリアを考え、じっくり考えてみてください。

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