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IELTSの概要と特徴について

OETと同じように海外で医師登録するための英語基準として認可されているテストにIELTS(International English Language Testing System)があります。

医療分野に特化したテストではありませんが、TOEFLと並んで世界で最もポピュラーな試験で、それゆえ対策教材やテクニックなどが豊富にあることが特徴です。

今回はそんなIELTSに関して情報をまとめていきます。

なお、OETに関する情報は以下の記事を参考にしてください:

IELTSとは?

IELTSはUK発の英語試験です。医師登録だけではなく、大学入学や移住の基準として世界中で認可されている英語試験です。

幅広い層が受験するため、出題される分野は多岐に渡り、対策には高い日常英語の力が求められれます。

以下に概要をまとめておきます:

名称IELTS(International English Language Testing System)
受験形態① ペーパー試験
② コンピュータ試験
リスニング試験時間:約30分
対話形式の音声2つとスピーチ形式の音声2つの計4つを聞いて設問に回答します。各音声ごとに10問ずつ設問が設定されています。(計40問)
1. 多肢選択問題
2. マッチング問題
3. ラベリング問題
4. 空欄補充問題
5. 短文回答問題
リーディング試験時間:約60分
アカデミック分野に関する900-1000字程度の文書を3つ読み設問に回答します。各文書ごとに10問ずつ設問が設定されています。(計30問)
1. 多肢選択問題
2. マッチング問題
3. ラベリング問題
4. 空欄補充問題
5. 短文回答問題
6. 見出し問題
7. True/False/Not Given問題
8. Yes/No/Not Given問題
ライティング試験時間:約60分
グラフや地図などの資格資料(150字以上)の描写問題とエッセイ問題(250字以上)の2つの設問に回答します。
タスク1. 視覚資料の説明(15分)
タスク2. エッセイ(45分)
スピーキング試験時間:約11-14分対面で試験監督からの質問に回答します。
パート1. 日常会話(4-5分)
パート2. スピーチ(3-4分)
パート3. ディスカッション(4-5分)
会場日本全国
試験日試験団体ごとに異なる
受験費用25,380円

IELTSは「バンドスコア」というスコア基準を採用しています。9.0から1.0までの数値が0.5刻みで評価されます。海外で医師登録を目指す場合、各セクションで「最低7.0以上・オーバーオール(スコア平均)7.5以上」のスコアを取得することが基準となるケースが一般的です。

IELTSは試験団体ごとに受験日と会場が異なり、IDP Educationの新宿会場では毎日受験することができます。

全国で受験することが可能な点、受験費用がOETのおよそ半額な点を考えると、受験のハードルが低く受験のしやすさにOETよりも優位性があると考えられます。

一方で、試験で出題されるトピックは多岐にわたるため背景知識の有無で難易度に差が出やすいこと、出題される問題の種類が多いことから、対策がしにくいかもしれません。

IELTSの特徴

受験生の方たちの声を参考に、OETの傾向をまとめてみました:

  1. スピーキングで6.5以上のスコアが難しい
  2. ライティングも6.5以上のスコアが難しい
  3. 出題されるトピックに興味が湧きにくい

以下に詳しく解説していきます。

特徴 ① スピーキングで6.5以上のスコアが難しい

まずみなさん口を揃えて言うのがスピーキングの難しさです。

IELTSのスピーキングは以下の4つの観点から評価されます:

  1. Fluency and coherence(スラスラと話せることができているか)
  2. Lexical resource(難解な表現を適切に使えているか)
  3. Grammatical range and accuracy(表現に間違いはないか)
  4. Pronunciation(聞き取りやすい発音か)

参照:IELTS Band Descriptor

この中で「1. Fluency and coherence」と「4. Pronunciation」は、ネイティブのように英語を話すことができているか、ということが評価されます。

これらの評価軸が非常にシビアで、受験勉強を中心のバックボーンだと太刀打ちできない可能性が極めて高いです。

また、基礎英語力が高くなる程、自分の知識だけで英語文章を作ることができるようになります。しかし、非ネイティブ(第二言語学習者)がつくる英語文章は、文法が適切でもネイティブにとっては不自然と感じることが多く、そう言った点でもスコアを落としてしまう可能性が高いです。

特徴 ② ライティングも6.5以上のスコアが難しい

スピーキングと同様に、ライティングでも高いスコアが取得しにくい傾向があります。

IELTSのライティングは、以下の評価基準で構成されています。(タスク2の方が対策が難しいので、以下はタスク2の評価基準です)

  1. Task Response(設問に適した回答かどうか)
  2. Coherence & Cohesion (主張構成に一貫性はあるか)
  3. Lexical Resource (様々な語彙を適切に使用できているか)
  4. Grammatical Range & Accuracy(適切に文章を構成できているか)

参照:IELTS Writing Band Descriptors

スピーキングと同様に、基礎英語力が高いと「文法は合っているけどネイティブにとっては不自然」な文章を生成してしまう傾向があります。そうすると「4. Grammatical Range & Accuracy」のスコアが低下する恐れがあります。

また、日本語の感覚で意見をまとめると、ネイティブの観点からは「設問に返答できていない」または「主張と具体例に一貫性がない」というように見えることがあります。

上記はいずれもインプットだけで解決できるスキルではないため、いくら勉強をしてもスコアが伸びないという現象が起こるのだと考えられます。

特徴 ③ 出題されるトピックに興味が湧きにくい

受験生の声で最も多いのが、出題されるトピックに興味がなくて学習意欲が沸かないというものでした。

IELTSの問題は多岐にわたり、教育的なトピックもあれば芸術などのトピックも含まれます。これらは臨床現場で働いている人たちには関係性が薄く、やっていてもあまり面白みがないとのことです。

また、いずれの学問領域も、対策するためにそれに対応した専門語彙を覚える必要があります。興味のないトピックを繰り返し読み、専門語彙をその都度インプットするという作業を苦痛と感じる人が多いのでしょう。

IELTSに関する質問

よく受験生の方からいただく質問と回答を以下にまとめていきます:

Q. IELTSとOETならどちらが短期間で合格できるか?

相対的に見ると、OETの方が短期間で合格できるケースが多いです。

先述の通り、IELTSはスピーキングとライティングで安定したスコア取得が難しく、トピックが広く対応する範囲が広くなります。

一方でOETは、リスニングこそ難しいものの、ライティング・スピーキングはフォーマットが固定化されており非常に対策がしやすいです。

リーディングもスコアが取りやすい点を考えると、リスニング1科目の対策がメインになるOETの方が合格確率が高くなると考えられます。

Q. IELTSとOETどちらがおすすめ?

将来、海外で臨床することを考えるとOETの方が関連した英語知識を学ぶことができるのでオススメです。

特にAMC ClinicalやPLABなどの医療試験を受験する場合、ベースとなるスキルをOETで身につけておくと相関性が高いため定着率が高くなるでしょう。

まとめ

IELTSは公式問題集や対策に関する情報が豊富な一方で、OETと比べると対策するべき分野が広く安定したスコア取得が難しい傾向があります。

特に、スコア7.0以上を目指す場合は、スピーキング・ライティングをどれだけ安定して取得できるかがポイントになってきます。

これには個人の話し方の癖や得意不得意が大きく関わってくるので、対策しても先が見えない場合、他の手段を考えてみるのも良いと思います。

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