特定の条件を満たすことで、日本…
WBA(Workplace Based Assessment)とは?
専門医資格がない日本人医師がオーストラリアで臨床を目指す場合、AHPRに登録するためには「スタンダード・パスウェイ」というステップをクリアする必要があります。
スタンダード・パスウェイでは、基本的に以下の3つの試験:
- IELTS/OET/TOEFL/PTE(英語試験)
- AMC MCQ(医療知識試験)
- AMC Clinical(医療実務試験)
に合格しなくてはいけません。
この中でも特に「3. AMC Clinical」は合格率が低く、人によっては長期間の対策が余儀なくされます。(実技試験なので、それでも受かるかが分からないのが怖いところです)
そんな時にもう一つの方法として「WBA(Workplace Based Assessment)」という制度があります。
今回の記事ではそんな「WBA」について説明していきます。
目次
WBAとは?
AMC Clinicalのような実技試験とは異なり、WBAは実際に現場で働き、その働きぶりを元に適切な資格があるかを判断する制度です。「試用期間」のようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
期間は一般的には12ヶ月です。WBAの終了後に、雇用主から臨床スキルやコミュニケーション能力に関して評価を受け、基準を満たしていれば医師登録を行う事ができます。
実際に働きながら現地でコネクションを作れる点。長期的に能力が評価される点が、AMC Clinicalと比べるとメリットになります。合格率も高く、90%以上と言われています。
また、もう一つのメリットとして、雇用期間中は給与が支払われるということもあります。2017年にWBAに登録されていたパースの病院の応募要件では「82,557.00AUD to 99,893.00AUD」(約850万円〜1000万円)でした。
参考:Medical Jobs WA – Mercury eRecruit
WBAの応募資格
WBAに応募するためには以下の要件を満たしている必要があります:
- AMC MCQに合格している
- Medical Board of Australia から “Limited Registration” を認可されている
- WBAとして認定された病院で臨床ポジションを持つ(雇用関係を結ぶ)
臨床ポジションを持つというのは、つまり就職活動をして病院に雇用してもらう状態のことを指します。
CV(Resume)をブラッシュアップする必要があるのはもちろん、雇用主とのインタビューには入念な準備が必要です。また、ポジションは常に空いているわけではないので、経歴だけではなく運も関係している要素です。
WBAを認可されている病院
WBAは全ての病院で実施できる制度ではなく、AMCの認可が必要になります。認可されている病院は、コチラにまとめられています。
まとめられている病院の担当に一つ一つ連絡を送ります。
連絡する際のメール内容を精査する必要はありませんが、ほとんどの場合は連絡が返ってこないのでダメ元で連絡するくらいの気持ちで臨むと良いと思います。
参考:WBA Provider
仮に既にオーストラリアの病院に勤務していて、その病院がWBAプログラムのProviderではない場合、AMCに連絡することでProviderとして認可される可能性もあるので、その場合は勤務先の担当者にお願いしてみると良いでしょう。
参考:Contact Form
WBAのの申請方法
WBAを申請するためには前提として「① AMC MCQに合格している」と「② Limited Registration を認可されている事」の2つが必要です。
雇用主さえ見つかれば「② Limited Registration」は達成できるのですが、そのまた前提として指定された英語試験に合格する必要があります。
WBAのプロセスを簡易的にまとめると:
- 英語資格の取得(IELTS/OET/TOEFL/PTE)
- AMC MCQの合格
- WBA Providerに連絡して就職活動(CVの提出・インタビュー)
- AMCにWBAの申請
大きく分けて上記の4つのステップになります。
実際は先にAMC MCQを受験しても問題はありません。しかし、基礎英語力を高めてからの方が対策がしやすい点を考えると、先に英語試験の対策をする方が効率が良いと思います。
英語試験とAMC MCQのいずれも日本国内で受験する事ができるので、日本で働きながら長期的なキャリアプランとして試験対策をすることも一つの手段になり得そうです。
まとめ
WBAは実際に働く過程で臨床スキルやコミュニケーション力を評価してもらう試用期間のような制度です。
メリットは、
- 実際に働きながら現場で必要なスキルを学ぶ事ができる
- 働く過程で現地にコネクションができる
- 長期的に能力を評価してもらえる
- 給与が出る
のような事が考えられます。
一方、近年WBAは非常にポピュラーになってきており、受け入れ病院を探すことが困難になっていることが難点です。特に都心部の病院は人気で、Wating Listがある程なので、ケースによってはAMC Clinicalを地道に勉強した方が早くRegisterに繋がるということもあり得ます。
メリットとデメリットはつきものですが、机に向かって勉強していることが苦手だったり、試験のような1回きりのものが苦手な人はWBAの利用を考えてもいいかもしれません。
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